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弥生時代にタイムスリップ?いざ悠久の歴史を感じられる遺跡へ!/五斗長垣内遺跡活用拠点施設(兵庫県淡路市)

突然ですが、皆さんは『淡路島』と聞いて真っ先に何を思い浮かべるでしょうか?

玉ねぎ、タコ、淡路島牛乳、わかめ、しらす…美味しいものばかり(無意識に)出てきちゃいますが、実はこんな壮大な歴史スポットもあるんです!

 

国指定史跡『五斗長垣内遺跡』

北淡ICから山側に向かって車で10分ほどの場所にあるのが2012年に国史跡として認定された『五斗長垣内遺跡(ごっさかいといせき)』。山と海を臨める標高200mの壮大な景色の中にあります。

なんとこちら、国内で他に例を見ない珍しい遺跡なんです!

 

 

『五斗長垣内遺跡』が見つかるきっかけとなったのが2004年10月の台風23号。

その被害でこの場所にあった棚田が大きな土砂崩れに見舞われた際、復旧作業で掘り起こされたのが全ての始まりでした。

棚田の下から、弥生時代の鉄製品が鉄の材料片と合わせて127点出土されたのです。

これは、2009年の第1回現地調査報告会に歴史ファンが日本中から900人も訪れたほどの大ニュースでした。

これに一番驚いたのが地元の方たち。まさに『災い転じて福となす』で、「自分たちで守ってまちづくりに生かそうじゃないか」という集落全体の意思で遺跡の保存に舵を切りました。

 

『近畿=鉄の空白地帯』の定説を払拭!

さて、『歴史ファンをも唸らせた大ニュース』と先述しましたが、なぜそれほどまでの大ニュースだったのでしょうか?

その理由は、九州、中国地方や四国と比べ、近畿地方の弥生時代の遺跡からは今までほとんど鉄製品が出てきておらず、近畿地方は『鉄の空白地帯』と呼ばれていたから。

『近畿地方の弥生時代の遺跡から鉄器が大量に出土したこと』が大きな発見だったんですね。

 

 

更に、日本中にある弥生時代の遺跡では、鍛治炉跡が出てきたとしても村の中で1箇所程度の場合が多いのですが、この五斗長垣内遺跡では、発見された竪穴建物跡23棟の内およそ半数である12棟から鍛治炉跡が出てきているということから、国内最大規模の鍛冶屋さんのムラだったのではないか、と現在考えられているのです。

なんと鍛治炉跡が一つの竪穴建物跡の中から5、6基、多いところでは10基以上出土。それと同時に大量の鉄製品が出てきたことが、ここで確実に鉄器の加工をしていたという証拠になっています。

近畿地方で大量の鉄器が1つの遺跡から見つかり、更に鉄器を加工するほどの技術・環境が整えられていた、という新事実は、これまでの歴史に新しい風を起こしたのです。

 

竪穴建物の見事な復元『ごっさ鉄器工房』

 

そんな五斗長垣内遺跡に建てられているのが、遺跡から出てきた最も大きな竪穴建物を再現した『ごっさ鉄器工房』。

弥生時代の鍛治作業復元を行う実験棟としての活用を目的として建設されました。

 

 

こちらが入り口。頭に気を付けて中に入ってみると…

 

 

ひ、広い…!なんと内部の直径は10.5m。

内部で火を使って作業を行うため、萱の内面に不燃材を使ったり換気用の窓を設置しているなどの配慮がされているそう。

こちらでは、5月の『五斗長たまねぎまつり』と11月の『五斗長垣内遺跡まつり』の日に、鍛治工具を使用した鍛治作業の体験も出来ますよ。

 

 

こちらは展示スペース。

出土された鉄片や鉄製品のレプリカを見ることが出来るほか、専門家や地元の方の尽力により研究された鍛治作業を行うための道具などについても学べる場所。

弥生人の当時の営みをよりリアルに想像出来るような気がしてきますね。

 

遺跡を見ながら楽しめる『まるごキッチン』

 

敷地内には、株式会社五斗長営農組合の女性部のお母さんたちが土日限定で運営する『まるごキッチン』もありますよ。

こちらでは地元の野菜や古代米を使ったお料理やコーヒーを、遺跡を見ながら楽しめます。

 

 

こちらは『五斗長ランチ』。

野菜のキッシュは、近くにある北坂養鶏所の卵を使用しており、根菜類もたくさん入っていて彩り豊か。

地元で育てた『紫黒米(しこくまい)』を使って炊いたご飯は、プチプチもちもちしていて食べ応えバッチリ。

『紫黒米』は古代米の一種。店内でも販売中で、ブルーベリーと同じ成分アントシアニンが入っているため、健康志向の方にも人気のお土産となっています。

時期によっては地元の美味しい野菜も購入できますよ。

 

「古代史ファンも、そうでない方もぜひ『五斗長垣内遺跡』の面白さを感じて欲しいですね。何も知らなくて来ても、私たちの話を通して面白いと思ってもらえたら。四季折々の景色や海も見えて見晴らしがいいので、土日に来てのんびりご飯やお茶を楽しむのもおすすめですよ。公園が完成したらもっと気軽に立ち寄れる場所になると思います」と笑顔で話してくれた五斗長垣内遺跡活用拠点施設の片山さん。

今回熱く丁寧な説明をしていただいた彼女の語り口は、お話を聞きに来ただけでも価値があると言っていいほどとっても解りやすく、興味をそそられること間違いなし。

 

現在国の史跡公園として整備中の『五斗長垣内遺跡』。

古代の弥生の森を再現しようという植樹プロジェクトも進行中のほか、竪穴建物もこれから続々増えていく予定だそうで、楽しみ方も今後もっと増えていきそうですね。

あなたも、ここ五斗長で弥生時代にタイムスリップしてみては?

 

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五斗長垣内遺跡活用拠点施設

所在地/兵庫県淡路市黒谷1395-3

電話/0799-70-4217

開館時間/9:00~17:00

休館日/月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月28日~1月3日)

いせき

 

写真・記事:山田 芽実

 

 

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