現在、Instagramに投稿されているハッシュタグ「#淡路島」はなんと59万ポスト。数多ある投稿の中から、編集部の視点で行ってみたい!と感じた場所に突撃。受け継ぐ器をコンセプトに日用食器を制作されている、“Awabiware”さんへお伺いしました。
Awabi ware のルーツとは。
Awabi wareは淡路島の山の谷間、大町というのどかな場所に工房を構えています。元診療所を改装した工房は朝の光でやわらかい空気に包まれていました。
部屋のあちこちに彩られる季節の花に囲まれた作品。これらは実際に手にとって、購入することができます。華やかな色合いは、お客さまのリクエストによってうまれたものが多いとのこと。
ひっきりなしにかかってくる電話に、訪問者。忙しそうな代表の岡本さんを捕まえてお話を伺います。
遡ること大学時代。岡本さんの今の活動は、柳宗悦の「民藝論」に出会ったことがきっかけでした。各地の民藝館を訪れ、“民藝”の魅力に取り憑かれていく岡本さん。
Awabi wareの食器も、江戸後期から明治期に栄えた珉平焼(淡路焼)の制作スタイルがルーツなんだとか。
日用食器であることの理由。
「僕が民藝に出会ったのは奥さんがきっかけなんです。」と指さした部屋の奥に静かに佇む椅子。それは、20歳の頃同じ大学に通っていた奥さまが制作された作品。
「日常生活に馴染みながらも、名もなき職人たちが作る美しい“民藝”。生活に根ざした美しいものを作っていきたいんです。」と岡本さん。
Awabi wareの作陶スタイルはとってもユニーク。すべての工程を自身で行う方法と、原型を作って職人に部分的に依頼する制作方法と、2つのスタイルで作られています。
岡本さんがいなくても、Awabi wareを作り続けられる状況を作っているんだとか。スタンダードなカタチに鮮やかな色合い。あくまでも“自分の色”はいらない、“使う人”の求めるカタチや色を追求していると力強く岡本さんは話してくださいました。
一歩先に、みつめているもの。
工房をあちこち見渡してみると、美しく並ぶ道具たちや、焼かれるのを待っている器たちが目に入ります。
ギャラリーだけではなく、こうした作業スペースも見させていただけるのも訪れる楽しみの一つ。
「ちょっとこっち来てこれみて。」と岡本さんのお部屋で見せていただいたのが、島の木で作られた器。四国の木地師さんによる仕事です。「原型は僕が作ったんだけど、島の木を器にしてもらったんです。美しいでしょ~。輪島の漆職人さんに渡して、こんな黒色になればいいなと思ってる。」と岡本さん。
「今は四国や輪島など距離感があるものになりましたが、何年かたって、島で育った職人たちが、木を切り削り、漆を塗る。そして僕らが使って島の土に帰っていく。そんな想像をしています。」と新たな挑戦を楽しげに話してくださいました。
みなさんもぜひ、アポイントをとって工房を訪れてみてください。器に触れるだけではなく、工房の空気を味わうことでこれから先に広がる、Awabi wareの可能性を感じることができます。ぜひ、ゆったりと楽しんでくださいね。
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Awabi ware
所在地/ 兵庫県淡路市大町上507-1あわびウェア工房
営業時間/10時~17時
TEL/0799-70-6719
HP/http://awabiware.net
写真・記事:藤田祥子