普段、わたしたちが何気なく通りすぎている、数多くのお店。その中に、気にはなるけど、一人で入るにはちょっと勇気がいる。そんなお店は、ありませんか?この連載では、誰もが知っている“話題の人気店”とは一線を画した、地元民でも知る人ぞ知る、隠れた名店をご紹介。さぁ、勇気を出して。あなたも一緒に、その扉を、開けてみましょう。
■作り手が創る雑貨店
4回目に紹介するのは、南あわじの真ん中あたり。「三原」地区の住宅街に、ひっそりと構える一軒家のお店。その名も「そらみどう」。可愛らしいプランターや、観葉植物に囲まれた、大きなガラス張りのドアが目立ちます。
雪がちらついていたこの日。思わず「これは演出なのか!?」と疑ってしまうほど、雪がよく似合うこと!!オシャレすぎるその空間に、まるで北欧へとタイムトリップしたかのような錯覚を覚えながら…いざ、扉開けてみました!!
思っていたより、奥行きが広い店内!清潔感のある白い壁と、温かみのある木材のフレームワークが、柔らかく、優しい空間を創り出しています。
入り口そばには、ガーデニングやお部屋の装飾に使えそうなアイテムがズラリ。(実は私も以前、観葉植物好きな友人に、誕生日プレゼントを購入したことがあります…)
中へ入ると、淡路島を代表する、陶芸家さんの器が出迎えてくれます。そう、淡路島にはたくさんの陶芸家さんたちがいらっしゃるんです。その中でも、女性らしい、可愛らしいフォルムの陶器が揃っていました。
もちろんここに置いている商品は、淡路島のものに限らず、日本全国、海外はアフリカのものまで!広く取り扱っているんだそう。
他にも、文房具やアクセサリー、一部食品なども取り扱っています。(こ、この愛くるしい黄色フェイスに赤色帽子の糊は…!!懐かしき、フキエくんではないか!!!)
これだけの雑貨が並べられていれば、ごちゃごちゃしてしまいそうなイメージですが、圧迫感もなく、商品ひとつひとつがきちんと存在感を放っているのは、店主である瀬尾さんの雑貨選びのセンスと、昔からとにかく雑貨ばかり見てきたという雑貨愛があるからこそ。
「学生時代に過ごした大阪では、憧れの雑貨屋さんもあったりして。何時間でも見ていられるほど、本当に雑貨が好きだったんですよね。もちろん取り扱う雑貨は自分好みで選んではいますが、お店自体は、私が創っているというより、雑貨を作る“作り手のみなさん”に創り上げてもらっている感覚でいます。」
まるで愛でるように、丁寧に雑貨を並べる瀬尾さんの姿からは、“好きな物に囲まれた生活”をする幸福感が溢れ、そこは雑貨屋でありながらも、どこか瀬尾さん自身の“宝物”が集まる、ギャラリーのようにも感じられたのでした。
■“淡路愛”が集うカフェスペース
実は「そらみどう」には、カフェも併設されているんです。うまい具合に、雑貨の並ぶ棚たちがちょうど間仕切りの役割を果たし、カフェはカフェとして、きちんと落ち着ける空間になっています。
どうして雑貨屋でカフェをやろうと思ったのかを瀬尾さんに伺うと、「大好きな雑貨を眺めながら、ゆっくりお茶を飲む時間て、幸せだなと思ったんです。」
…確かに!!そんな贅沢な時間の過ごし方はないと、もの凄く納得の理由を聞けたところで、わたしも定番の「そらみどうチーズケーキ」とコーヒーをいただくことに。
きび砂糖のコクと、中に隠れていた黒豆がアクセントになっていて美味しい!!チーズケーキの他には、季節のケーキと、意外にファンが多いという、押し麦入りの緑豆・白玉ぜんざいがありました。ドリンクもコーヒーだけでなく、ハーブティーなどもあり、充実のメニュー!
可愛い雑貨たちを眺めながらのティータイムはもちろん、雑貨選びに悩んだときのクールダウンにも最適だなぁ、なんて思ってみたり。
聞くところによると、お茶だけしに来る地元民の方や、このカフェをめがけてやってくる島外からのお客さんも多いんだとか。
それもそのはず、「そらみどう」とは、来てくれたお客様が、“空を見上げたときにほっとする”、まさにあの感覚になれるようにとの想いが込められたお店。
「淡路島ならではの田舎の醍醐味は、ふとした瞬間にスイッチを切り替えられる、たくさんの自然と景色にあると思うんです。」学生時代は大阪で過ごし、卒業後は淡路へと戻って来た瀬尾さん。淡路島を愛し、淡路島の魅力を人一倍理解しているからこそ、お店作りにもその魅力がきちんと生かされ、その想いがお客様にもしっかり伝わっていっているのだろう、と感じた瞬間なのでした。
また「そらみどう」では、さまざまなイベントも開催。顔見知りの方が集っては、「こんなのどう?」とお話を持ってきてくれるのだそう。その話し合いの場となるのも、このカフェスペース。
「お店でお客様を待っていると、ふと思う時があるんです。もっと新しい扉を開きたいなって。(笑)ありがたいことにそういう“ご縁”を持ってきてくれる方が多いので、面白そうであれば、“ウチでいいならやろうか?”と実際にカタチにしています。雑貨に限らずいろいろなことに挑戦していく中で、淡路島にいる面白い人達を知ってもらうきっかけになれば嬉しいので、そういう、新しい扉を開いてくれる人を常に待ってるんです。(笑)」
そらみどうがオープンして11年目。「これから先も、同じ空気感を保ったまま、長く続けていけたらいいなと思います。」
扉を開けてみたら…
「雑貨屋」というひとつの枠に捕らわれることなく、様々な切り口から“淡路愛”を伝えるみんなの発信拠点がありました。
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そらみどう
所在地/兵庫県南あわじ市市福永427-5
営業時間/AM10:30-PM19:00
定休日/月曜日・火曜日(祝日は営業)
TEL/0799-42-0932
Mail/info@soramidou.com
写真・記事:藤本沙紀